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律「そうなんだよ、ただそれに自分で気づいてないだけさ。 だからもう少し素直になれよ」 梓「……」 律「…はぁ、頑固だねぇ」 紬「梓ちゃん…」 律「とりあえず今日はもう帰った方がいい、大分日も落ちてきたことだしな」 紬「…そうね、それじゃ梓ちゃん、もう帰りましょう」 梓「…はい」 律「…ま、梓自身のことだ。私達がとやかく言ったって、お前がそう思わないんじゃどうしようもない。 ただ私達みたいに性別も関係なく愛し合っている奴等がいるってことだけ覚えといてくれ」 梓「…わかりました」 律「ありがとう、それじゃまた明日」 紬「ばいばいりっちゃん」 梓「……」 紬「…それじゃ私達も帰ろっか?」 梓「…はい」 ―次の日 学校 梓「ふあああ…結局昨日は全然眠れなかったな…」 昨日寝る前に考えた結果、やっぱり私は唯先輩が好き…なんだと思う。 でも、律先輩やムギ先輩はその気持ちを隠すことなんかないって言ったたけど… やっぱり私は同性同士の恋愛に、偏見を拭いきれない。 これは私がおかしいのだろうか? …いや、きっと誰もおかしくなんかないんだ。 偏見を持っているのは、きっと私だけじゃない筈。 他にももっと、私よりも強い偏見を持っている人だっていっぱいいるだろう。 特に世間がそうだ。 最近はよくテレビなんかで同性同士の恋愛を許そうなんて謳ってるけど、 それでも世間一般化から見れば、まだまだ同性愛が受け入れられていないのは事実だ。 その証拠に、私は同性愛を快く思わないから。 なのに、自分は同性が好きだと堂々と言える律先輩やムギ先輩が、実は少しだけ羨ましく思える。 私も周りの目や風当たりを気にしないで、堂々と同性が好きだと宣言できれば、こんなにウジウジ悩む必要もないのだろう。 でもそれが出来ない私には、唯先輩を好きだと言う資格すらないのだ。 梓「はぁ…自己嫌悪…」 憂「おはよう梓ちゃん」 梓「あ、憂…」 憂「どうしたの? なんだか元気ないね」 梓「そ…そうかな…?」 憂「うん、眼の下に隈ができてるし…もしかして寝不足?」 梓「そ、そんなところかな…あはは…」 憂「そうなんだ…実は私も寝不足でさ…」 梓「え? 憂も?」 憂「うん、実は昨日の夜、お姉ちゃんと色々あってね…」 梓「色々?…!ま、まさか…! 唯先輩とにゃんにゃんしたの!?」 憂「えっ?…う、うん///」 梓「!!!」 梓「ど、どうして…?嫌じゃなかったの!?」 憂「うーん…まぁ最初は確かに嫌だったけどさ、お姉ちゃんがどうしてもっていうから、その…」 憂「…にゃんにゃんしちゃった///」 梓「そ…そんな…!」 唯『憂は優しいし、私のことをいつも大好きって言ってくれるから、きっとにゃんにゃんさせてくれるよ』 梓「…おかしいよ、こんなの絶対おかしい!!!」 憂「きゃっ!?急に大きな声出して、どうしたの梓ちゃん?」 梓「だって…唯先輩と憂は姉妹で女の子同士なんだよ!? そんなのおかしいじゃん常識的に考えて!異常だよ!」 憂「異常って…こんなこと女の子同士でしか出来ないよ! なら梓ちゃんは男の人とにゃんにゃんするっていうの!?」 梓「それは…わからないよ…いつかするのかもしれないし…」 憂「ふ~ん…私からしてみればそっちの方が異常だと思うけどね」 梓「私が…異常…?」 梓「私は…異常なんかじゃない!」 憂「異常だよそんなの!おかしいよ!」 梓「違う…異常じゃ…ない…」 憂「異常だよ!…気持ち悪い」 梓「!」 私は…気持ち悪いの…? 異常なのは私の方? 何が常識で、何が非常識なの? わからない…私にはわからない… わからない…わからない… 私には…わからない… 梓「う…うぅ…」ポロポロ 憂「あ、梓ちゃん…言いすぎたよ、ごめんなさい…」 唯「あずにゃんとにゃんにゃんしたいにゃん」 梓「唯先輩のことは好きだけど、女同士は気持ち悪いからいやにゃん」 紬「でも唯ちゃんが好きなのよね?」 梓「そうだけど…にゃん」 律「ならにゃんにゃんしちまえよ、私と澪はしてるぞ。なんたって愛し合ってるんだからな!」 澪「り、律…///」 梓「で、でもでも…同性愛者は異常だにゃん」 紬「そんなことないわ、異常だと思うから異常なのよ、自分の本当の気持ちに自信を持ちなさい」 梓「わかったにゃん…では、唯先輩…好きですにゃん!」 唯「嬉しいなぁ、ならにゃんにゃんしよう」 梓「はい」 紬「キマシタワー━━( ゜∀゜ )━(∀゜ )━(゜ )━( )━( ゜)━( ゜∀)━( ゜∀゜ )━!」←今ここ 梓「それじゃ唯先輩…眼を閉じてください」 唯「? こう?」 唯先輩がすっと眼を閉じた。 私はそんな無防備な顔をめがけ、ゆっくりと自分の顔を近づけていく。 勿論、目指すは唯先輩の唇だ。 とくん…とくん… 緊張のせいで、心臓の音がさっきから五月蠅い。 だってファーストキスなんだよ?緊張するに決まってるじゃん。 3cm、2cm、1cm、 徐々に私の唇は、ぷるんとした唯先輩の唇へと近づいていく。 そして、距離はミリ単位まで近づき、 梓「……ん…」 とうとう、お互いの唇が重なり合った。 瞬間、 どんっ! 梓「痛っ!」 急に唯先輩に突き飛ばされた私は、尻もちをついた。 何事かと思い、眼の前の唯先輩を見上げると、そこには涙目になった唯先輩が。 唯「あずにゃん…酷いよ…」 唯先輩はわなわなと震えている。 にゃんにゃんせずに、先にキスをしてしまったことを怒っているのだろうか? 梓「あ、安心して下さい!今からちゃんとにゃんにゃんしますから…」 唯「もういいよ!あずにゃんの馬鹿!知らない!」 そう吐き捨てた唯先輩は、走って部室を飛び出していった。 梓「…え? どういうこと?」 紬「梓ちゃん!唯ちゃんに何か酷いことを言ったの!?」 梓「い、いやいや!私は何も…」 律「ならどうして唯の奴泣いてたんだよ!?」 梓「わからないですよ!私はただキスをしただけです!」 紬「キスをしただけで泣く訳ないでしょ!?」 梓「本当なんです!信じて下さい!」 律「…わかった、とりあえずその話を信じるとしよう。 ならどうして唯は泣いてたんだ? 無理やりキスしたんじゃないのか?」 梓「無理やり…確かに無理やりかもしれません…」 紬「なんてことを…唯ちゃんの気持ちもお構いなしに…!」 梓「で、でもでも…私達はお互いに好きあってたんですよ!?ならキスなんて暗黙の了解みたいなものじゃないですか!」 律「まぁ…確かにそうかもな…」 紬「なら唯ちゃんはどうして…?」 澪「…なぁ、もしかして唯の言う好きと梓の言う好きは違ったんじゃないのか?」 紬「そ、そんな馬鹿な…なら唯ちゃんはどうして梓ちゃんとにゃんにゃんしたがってたの?」 律「そうだよ、それは梓のことが好きだからだろ?」 澪「うーん…まぁ確かにそうだけどさ…ならこういう考えはどうだ? 実はにゃんにゃん自体の意味も違ってたとか」 梓「にゃんにゃん自体の意味…?にゃんにゃんという言葉に複数の意味なんてあるんですか?」 澪「それはわからない、もしかしたら唯が何かのことをそう呼んでいるだけかもしれないしな」 紬「そんな…だとしたら…」 律「にゃんにゃんの本当の意味って…」 梓「一体…なんですか…?」 澪「さぁ…とりあえず唯に聞いてみたらどうだ?」 梓「それは出来ないですよ…唯先輩、かなり怒ってましたし」 澪「そうか…なら他ににゃんにゃんの意味を知ってる奴はいないのか?」 梓「うーん……あっ!一人いました!憂です!」 … がちゃっ 憂「失礼します」 梓「憂!ごめんね突然呼び出して…まだ学校に残ってくれていてよかったよ」 憂「梓ちゃん元気出たみたいだね、そういえばさっきは本当にごめんなさい…」 梓「あ、こちらこそごめんね…異常だなんて言ったりしてさ…」 憂「ううん、私のことはいいの。あんまり気にしてないからさ」 梓「憂…」 憂「梓ちゃん…」 紬「いいわねぇ…すごくいいわぁ…はぁはぁ……さて、仲直りも済んだことだしそろそろ本題に入ったらどう?」 梓「あ、そうですね…憂、実は聞きたいことがあるんだけど…」 憂「なーに?なんでも聞いて♪」 梓「それじゃ遠慮なく…にゃんにゃんについて教えてほしいんだけど…」 憂「!!ど、どうして…?」 梓「えっ?そ、それはその…憂が今朝言ってたのを聞いて気になったからだよ!」 憂「…あれ? 確かあの時は梓ちゃんから話を振ってきたんだよね? 私はてっきり、梓ちゃんは知ってるものだと思ってたよ」 梓「それは…ごめん!実は昨日、唯先輩ににゃんにゃんしてほしいって言われて、断ったら憂とやるって言ってたから、それで気になってさ…」 憂「あぁ…そうだったんだ。なら梓ちゃんが断らなければ、私はあんな恥ずかしいことをしないで済んだんだね…」 梓「は、恥ずかしいこと…?それって…どんなこと…?」 憂「それは…すごく恥ずかしいことだよ…///」 紬「まぁ…是非ともそれを見てみたいものだわ」 律「そうだな、見ないことには私達は何とも言えない訳だし」 憂「えっ!?あ、あれをやるんですか…? 今ここで…?」 律「そうだよ、早く早く~」 憂「うぅ…///」 澪「こら律、憂ちゃんが困ってるじゃないか。憂ちゃんも無理にやらなくたっていいぞ」 紬「でもそれを見ないことには、唯ちゃんの怒っている理由がわからないままよ?」 澪「うっ…確かにそうかも…でも流石に無理にやらせるのは…」 憂「…わかりました。私、にゃんにゃんさせていただきます!」 律「さっすが憂ちゃん!話がわかるねー!」 紬「よく決心してくれたわ♪」 澪「憂ちゃん…本当にいいのか?」 憂「はい…恥ずかしいですけど頑張ります!」 憂「……それじゃ、いきます!」 梓澪律紬「……ゴクリ」 憂「………あのー、決して笑わないでくださいね?」 梓澪律紬「……コクリ」 憂「それじゃ今度こそ…いきます!」 憂「ワンツースリー…にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 梓澪律紬「………」 憂「…終わりです」 梓澪律紬「………え?」 紬「…もう一度、いいかしら?」 憂「えっ!?…わかりました、では…」 憂「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「…もっと」 憂「…はい、にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「もっと!」 憂「はい!にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「もっとー!!!」 憂「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃん…」 律「にゃんにゃんうるせーよ!!!」 憂「にゃっ!?」ビクッ 梓「…え?これがにゃんにゃんの正体なの?」 憂「…うん、恥ずかしいでしょ…」 梓「あ、あはは…そうだね…」 私達が知りたがっていたにゃんにゃんの正体。 それは頭の上で、手で猫耳を作り、ひたすらにゃんにゃんと言いながら左右にステップを踏むという、 ただの恥ずかしい踊りだったのだ。 大体、急ににゃんにゃんしようとか言われたら、誰だって普通はあっちのにゃんにゃんを思い浮かべるだろう。 こんな踊り、誰だって知ってる訳ないじゃん。 憂「お姉ちゃんは…少し変わってるから。でもにゃんにゃんする時のお姉ちゃん、すごく可愛いの♪」 …あぁそうか。異常なのは私でもなく、律先輩やムギ先輩でもない。 …唯先輩だったんだ。 おしまい ――エピローグ? 唯「はぁ…」 私は部室の前でため息をついた。 あずにゃんに私のファーストキスを奪われてから早数日、 私はあずにゃんと顔を合わせるのが気まずくて、ずっと部活を無断欠席していた。 唯「…でも、いつまでも休んでいる訳にはいかないよね」 これからも、あずにゃんとは同じギター同士として、色々と力を合わせなくてはいけないこともあるだろう。 その時の為にも、いつまでもこんな状態じゃいけない。早く仲直りしなくては。 そう決心した私は今、こうして部室の前に立っているという訳だ。 唯「みんな無断欠席したこと怒ってるかな…?」 特にりっちゃん、彼女は部長だし、いい加減な所はとことんいい加減だが、しっかりしている所は嫌にしっかりしている。 それに澪ちゃん、彼女こそ秩序や規制の塊みたいなものだから、きっと入ったらすぐにげんこつをされるんだろうな。 あとムギちゃん、彼女は笑って許してくれそう。 最後に一番問題なのがあずにゃん。 私は彼女ににゃんにゃんしようと誘っただけなのに、まさか唇を奪われるとは思っていなかった。 そのことはすごいショックだったが、何よりも一番ショックだったのは、彼女は私に惚れていたということだ。 私は普段から、スキンシップのつもりで抱きついていたのに、あずにゃんにとってそれは、スキンシップ以上のものだと思っていたんだろうか。 だから彼女に私が惚れていると、勘違いさせるようになってしまったんだろう。 そう思うと、今までの彼女に対する自分の行動を全て否定したくなる。 だって私は、同性愛というものが世界で一番醜くて、汚らわしいものだと思っているからだ。 わいわいきゃっきゃっ ドアの向こうから部員達の楽しそうな声が聞こえる。 何も知らなかったあの頃、私もあの声に交じって楽しく騒いだものだ。 だがきっと、これからの部活動であの声達に私の声が混ざることはないだろう。 それは、全てを知ってしまった今、私はこの部を素直に楽しむことなど出来ないからだ。 あぁ…出来ることなら、何も知らなかったあの頃に戻りたい。 そしてあずにゃんに抱きつくという馬鹿な行為を二度と繰り返さず、 笑顔のまま楽しい三年間を送りたい。 でも歴史は変えられない、これは成るべくしてなったことだから。 もう悔やんだところで全てが遅いのだ。 唯「…なら変えてやればいい」 私の過ごしやすいように、また笑顔で部室に通えるように、 …私は中野梓を退部させる。 to be continued! 戻る
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「……それで、私のところへ?」 「――はい……すみません、かがみ先輩」 「あー、気にしないでいいよ。悪いのはあいつだし」 「ありがとうございます」 ☆ 午後10時ごろ、こなたお姉ちゃんの部屋にて。8月7日。 「……えっとお、こ、こなたお姉ちゃん?」 「なーにゆーちゃん」 「できれば、その手に持っているものを説明して欲しいなあ……」 こなたお姉ちゃんがニヤニヤしながら持っているあれを、私は引きつって笑いながら尋ねる。もしかすると、もしかしなくても……。 「バイブレーション、もといバイブレーター」 「それを、どうして持っているのかな」 「そりゃあ――」 ゆーちゃんをやっちゃうため♪ ひゃっほーい、と笑顔でとんでもないことを言いながらこなたお姉ちゃんが飛び込んでくる。私は「わあああ」と驚きながら、間一髪のところで転がり、それを避ける。手足を縛られていないのが幸いだった。こなたお姉ちゃんは舌打ちをしながら、 「ちぇ、やっぱりロープを買えばよかったなあ」 「そ、そういう問題じゃ」 「いやね、おじさん、エロゲーで」 いきなりおじさん口調でふけ気味に話すこなたお姉ちゃんは、えっちなゲームで発情した云々、ちょうどそのとき私が通りかかって腹いせの意味も込めてやっちゃうと思ったしだい云々。てゆーかゆーちゃん萌えるし、これはもう私のものにするっきゃない、とか。いつからこなたお姉ちゃんの所有物に? 確かに私の前方2メートル先には、立ち上がりっぱなしのパソコンがうぃんうぃん言っている。バイブレーターもうぃんぅうぃんうにょんうにょんしている。目を背けたくなるような淫猥なそれは、前後にまるで毛虫のように蠢いている。よくわからないけど――ほんとによくわからないんだよ? 私えっちじゃないもん――男の子ってああいうものなのかな、なんて思う。私だってそこまで純ではないから、少しは意味はわかるけど――だから私、えっちじゃないもん! 先ほどまでは卑猥な女の子のあられもない姿が映し出されていて、私は真っ赤にになりながら目をそむけた。こなたお姉ちゃんがマウスをクリックすると、画面上の女の子の甘い声がこなたおねえちゃんの部屋中に響く。わ、私もあんな声、でるのかな――とまったく凸凹のないぺったんこの胸を左手で撫でる。それも数分した後、スクリーンセイバーが表示されて事なきを得る。そのスクリーンセイバーも女の子姿だったけれど、これは普通に着物を着ていてかわいらしい女の子だった。 「と、いうわけで」 「と、いうわけで?」 「ゆーちゃんのバージンをゲットだぜ! たとえスカートの中でもね!」 「キャーっ!―――いやゲットじゃないよ!」 ふーじこちゃーん、と言いながらダイブするこなたお姉ちゃんを、すんでのところで交わす。運動神経のいいこなたおねえちゃんの魔手から二度も逃れたなんて、ノーベル賞受賞物じゃないか、ってそんな与太話を考えている暇なんてない。そもそもどんな賞だろう。私は腰が引ける、私のガラスの心臓をなんとか励まして、立ち上がり、あわてて扉を開いた。自分の部屋に鍵をかけて閉じこもっても、頼りない備え付けの鍵じゃ五円玉ひとつで突破されてしまう。私は自室という選択肢を切り捨て、素早く玄関に向かい、靴を履き外にでた。 そのまま自転車を持ち出し、駅までひたすら漕いだ。家を出た時点でこなたお姉ちゃんが追いかけてくることはないとわかっていたけれど、行く当てがない私はとりあえず幸手の駅に向かった。八月の初旬、夏真っ盛りとはいえ午後10時ともなるとあたりは深淵の闇に覆われている。油蝉もなき止み、物音ひとつしない。静寂の空間から漏れているのは私の激しい息継ぎと、ペダルを漕ぐことによって生じるチェーンのギィギィと擦れる音だけだ。少し進むごとに現れる電線柱の燐光と、ダイヤモンドが散りばめられている夜空との陰影がとても印象的だった。私は自転車を操りながら、時折空を見上げ、妖美に輝く三日月の壮麗さに目を奪われていた。神秘的な光景を目の当たりにしておきながら、そのまま駆け抜けるには、この情緒にとんだ夜景は充分すぎるものだったから、結局私は自転車から降りて、しばし神秘的な天空を眺めることにした。山紫水明の景色だ。 道の端っこに自転車を立てかけ、スタンドを立てる。サドルの上に座り、倒れないようにバランスをとった。急ブレーキをかけてあたり一面にタイヤの擦れる音を響かせるのは周りに迷惑だし、人工的な音をこの切り取られた空間に持ち込みたくなかった。だからゆっくりとブレーキを踏んで停めた。 はあはあと過呼吸気味にあえぎながら、息を潜めて空を切り裂くように手をかざした。 天体観測もまた風流だ。一人でやっても楽しいけれど、みなみちゃんと一緒だったらもっと楽しかったのかなと一人この状況を独占している私はもったいないと思う。 天文学の知識に乏しい私は名前だけ覚えているわし座のアルタイルはあれかな? と根拠もなくひときわ輝く一等星にその名前を冠した。彦星様が年に一度の逢瀬を願う織姫様――こと座のベガを、私はこりもせず煌々と明るい一等星にその名前を当てる。 「それじゃあ、あれが天の川」 やっぱり私は恣意的に決定していったけど、なんだか幸せな気分だった。学者になった気分を味わえたし、宇宙はすべての知悉が詰まっている気がして、私はその中のほんの一握りでも触れた気がしたからだ。 ちょうど一ヶ月前は七夕だ。こなたお姉ちゃんとそうじろう叔父さんと一緒に短冊に願い事を飾ったから、その日のことははっきりと覚えていた。願い事? 秘密。 その日はたしか一日中雨。 私が残念そうに、庭に立てかけられた短冊を窓から眺めていると、隣に座っていたそうじろう叔父さんが教えてくれた。 「七夕の日に振る雨のことを洒涙雨って言うんだ」 「さいるいう……ですか?」 「織姫と彦星が再び離ればなれになる織姫の愛別離苦、惜別の悲しみとしてそそいだ涙だそうだ」 「素敵な言葉ですね」 そうじろう叔父さんは作家だけあって物知りだ。私は日本語の素敵で、美しい言葉に触れられて、そうじろう叔父さんに感謝しながら胸に刻んだ。来年はもし雨が降ったら織姫の悲哀を思いながら、私も一緒に織姫と彦星の再び訪れるであろう逢瀬の日々も七夕の願いにこめようと思う。 「それとな」 そうじろう叔父さんはこうも教えてくれた。 「七夕の前日に降る雨は洗車雨って言うらしいぞ」 「どんな意味なんですか?」 「前日、つまり7月6日に彦星が織姫に会いにいくために、牛車を洗う水が雨になるそうだ」 「そうなんですか――そうじろう叔父さんは物知りですね」 すごく勉強になりましたと、私がえへへと笑いかけると、そうじろう叔父さんはなんだか不遜な表情をしていたけれど、この際だから忘れよう。雨とか空には思わず心が疼いてしまうような素敵な言葉が多い。私はその後、図書館に行ってそうした日本語を調べてみた。 にわか雨のことを言う「村雨」、小さい頃は友達と「お天気雨だね~」なんて言っていた日が照っている雨のことを「きつねの嫁入り」、篠竹を束にして地面に突きおろすように、はげしく降る大雨、豪雨のことを「篠突く雨」という。 なんだか高良先輩の気持ちがわかった気がする。知ることって素敵だ。図書館で声を漏らさないように注意しながら私は「へー」とか「きれいだなあ」と感嘆するのだった。 ノースリーブ姿でも寒気を感じることがないくらい、夏の夜は暖かいが、われに返るとこの状況はとても危険だ。この辺りは治安がいい、というかこの時間帯になると出歩くような人はほとんどいないとはいえ、女の子ひとりで夜道を歩く(漕ぐ)というのはあまりほめられたものではないと思う。自転車に乗っているうちは安全だと思い、慌てて自転車に乗りなおした。そのまま幸手駅まで向かう。 駅について、どうしようか逡巡し、ぱっと思いついたのがかがみ先輩だった。幸運だったのは、こなたお姉ちゃんの部屋に訪れたとき、財布と定期券をきちんとぽけっとの中に入れておいたことだと思う。駅の時刻表を眺めた後、携帯電話で現在の時刻を確認すると、幸手駅の到着時刻は五分後。私は安堵のあまりほっとため息をついた後、かがみ先輩の携帯電話をアドレス帳から選び、プッシュする。怒られるか、呆れられるかと私はびくびくしながら携帯の読み出し音に耳を傾けていた。 かがみ先輩は私にではなく、こなたお姉ちゃんに軽口を叩いた後、すぐに了承してくれる。迷ったら大変だからということで、かがみ先輩が鷹宮駅のプラットフォームで待っているとまで言ってくれた。耳から受話器を離し、電源ボタンを押した頃には駅内に電車が到着する旨の放送が流れ、数十秒のタイムラグの後、私は乗車した。 この時間帯ともなると乗車客もまばらで、赤い座席シートが寂しげにしている。私は歩きながら端っこの座席に座り、出発するのを腰をかけて待っていた。 ガタンゴトンと、時折びっくりするくらい振動しながら、電車は運行していた。全身に掻いた汗も、もうすっかり冷えて、車内の冷房が肌寒かった。 ☆ 「なんていうか、こなたの奴、最低ね」 「――いえ、私が邪魔したのがいけなかったです」 「いやゆたかちゃんは悪くないわ。安心してね、明日こなたをいたーい目に遭わせてあげるから」 「えっと、お手柔らかに」 「なにしようかなー。あれとか、これとか? あれはこなたのじゃ入らないかな? うーんでもお仕置きだからいいわよね♪」 ど、どんなことを考えているんだろう。こなたお姉ちゃん以上に邪悪に顔をゆがませながら、先ほども耳にしたバイブレーションとかローターとか、とんでもない言葉が次々にかがみ先輩から飛び出している。 もしかしたら、逃げていくところを間違えたのかもしれない。 「あ、そういえばゆたかちゃんは泊まっていくんでしょ? もう終電逃しているし」 駅でかがみ先輩を見つけ、家まで送ってもらった後、かがみ先輩は私をコーヒーとチーズケーキでもてなした。私は「気を使わないでください」と謙遜したけれど、結局私はそのご好意に甘えることになった。一息ついた後は、かがみ先輩に事情を話した後、とりとめのない四方山話に花を咲かしていて、かがみ先輩の壁にある掛け時計に目を向けるといつの間にやら次の日になっていた。あわてて自分の携帯で時刻を再度確認すると、やっぱり十二時を軽く回っていた。 かがみ先輩はポテトチップスと冷蔵庫から麦茶を取り出した後、私をかがみ先輩の部屋に案内してくれる。通るときに見かけた固定電話が、昔懐かしい黒電話で、私はちょっと驚きにみちた目でかがみ先輩を振り向いてしまった。かがみ先輩は少し顔を赤らめ右手でぽりぽりと頬を掻きながら「あはは、うちって、古風だから」と弁明するのを私は、少しでもかがみ先輩の気に障るまねをしたことにひたすら謝り倒す。 多少微妙な空気が流れたが、かがみ先輩はすぐに気を取り直して、私を案内してくれた。かがみ先輩の部屋は二階らしく、階段を上る。上りきったとき、かがみ先輩は奥はつかさの部屋といいながら、目の前にある部屋の扉を開け、私を招待した。 「えっと、ご迷惑じゃなければお願いします」 願ってもない提案に私は甘えさせてもらう。携帯電話は持ってきたので、あとでそうじろう叔父さんに連絡しようと思う。結局のところ私はタイミングが悪くこなたお姉ちゃんの……その、なんて説明すればいいのかわからないけれど、情事を邪魔してしまったからこうなったわけで。私がそういうことをしたことがあるかというと――ううん、なんでもない。なんでもないよ? 明日になればそうしたもじもじした感情も消えうせている頃だから、私も安心してまたこなたお姉ちゃんの家に居候できると思う。こんどは気をつけないと。 「あ、じゃあ」 …………先ほど見せたような、邪悪な笑みのまま私に笑いかける。えっと、かがみ先輩? かがみ先輩は何も言わず、てくてくと扉に向かい、鍵をかける。鍵をかけただけじゃなく、机からガムテープを取り出し、背伸びして扉の四方に正確に張って行った。 「な、何をしているんですか?」 一連のかがみ先輩の行為の理由を悟り、私は顔を青くしながら恐る恐るその意図を尋ねてみる。どうか杞憂でありますように。どうか冗談でありますように。どうか――どうか無事家に帰れますように。切実です。織姫様。 「先にゆたかちゃんで練習してみようかなって。それにこうして一緒にいるとゆたかちゃん、かわいいし」 「え、えっとお――ー」 「えいっ!」 逃れのようない密室で距離を詰められ、私は羽交い絞めに――。 「なんていうか、こなたの気持ちもわかるわ。妹に欲しいくらいだもん。いっそのこと柊ゆたかになってみない?」 「だ、誰か~」 「今日は私しかいないわよ♪」 ――もしかしなくても、逃げていくところを間違えた。 ☆ ところで、こなたお姉ちゃんをお仕置きするのがかがみ先輩なら、かがみ先輩にお仕置きするのは誰なんだろう? みなみちゃんかな。みなみちゃんはなんだか怒っていたようだけど、しばらくするといそいそとみなみちゃんは自分の部屋をでていった。暫くすると戻ってくる。その理由を尋ねてみると、 「家中の鍵を閉めてきた」 「えっとお、それって?」 「ごめん、ゆたか」 ――あれ、なんだかループしてる。じゃあみなみちゃんのお仕置きは――田村さん? でも田村さんの家に行くのは冗談でなく本気で怖い。この流れからいっても。 …………誰かお願いします。こんな人たちにお仕置きをしてください。 織姫さん、彦星さん、私のためにも泣いてください。 できればその対価が私というのも、やめてくれると嬉しいです。 コメントフォーム 名前 コメント ゆい姉さんのところに行けば? お仕置きしてくれるよ(法的な意味で) -- 名無しさん (2012-12-14 10 14 29) 私、小早川ゆたかはバージンを狙われています。なぜ、誰にバージンを狙われているのかはわかりません。 これをあなたが読んだなら、その時私は"奪われて"いるでしょう。…バイブであるか、ないかの違いはあるでしょうが。 これを読んだあなた、どうか、お仕置きをしてください。それだけが、私の望みです。 小早川ゆたか ……ぅおおぉおぉぉお惨劇だぁああぁあぁ……。 -- 名無しさん (2009-02-08 21 10 18) んで、ゆい姉さんの次がおれか -- 15 (2009-02-04 00 22 33) いや~~ループすぎて怖い(^_^; つーかゆい姉さんところ行けば?? -- 名無しさん (2009-02-02 18 01 44) ・・・ ・・・・・落語でこんな感じの展開の話があったなあ・・・ もはや言葉もありませぬ。 -- 名無しさん (2009-02-02 17 48 34)
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「いーちゃんに会いたい」 ◆T7dkcxUtJw 千刀『ツルギ』。 戦国時代、四季崎記紀によって作られた十二本の完成形変体刀が内の一本にして、完全なる同一を誇る、千本で一本の刀。 その千刀の内の三本を地に並べ――とがめは熟考していた。 「……三本が三本とも、寸分違わぬ出来。これらはまさしく千刀に相違ない」 そう語るとがめの顔には、明らかに困惑の色が混じっていた。 それも当然のこと、これら三本は先刻宗像形によって突き刺されたものだが――本来ならば、今、この場にあるはずがないものだ。 千刀は――去る弥生、出雲にて、他でもないとがめ自身が蒐集していたのだから。 入手した千刀は、一本残らず尾張城へと移送した。それらが失われたなどという報告は受けていない。 また、尾張城には否定姫がいる。 認めたくはないが、奴がいながら完成形変体刀が奪われるなどという失態は絶対に起こり得ないと、とがめは確信していた。 ならば、ここにある千刀はいったい何なのか。 「贋作、という線は薄いな……出雲では嫌と言うほど千刀を見続けたのだ。今でも形状ははっきりと覚えている。 それに、贋作だとすればこれらがこうも同一である説明がつかない。千刀を完成形変体刀たらしめる理由は、そこにこそあるのだから」 千刀に付着した自分の血液を拭き取りながら、とがめはいくつかの可能性に思いを巡らす。 まず、尾張幕府がこの殺し合いの首謀者である可能性。これならば千刀の存在に説明はつくが――幕府に利点がない、と即座に却下する。 仮に幕府がとがめの素性に感づいたとしても、自分を始末するためにこんな大掛かりな舞台を用意する必要性は皆無だろう。 ならば、尾張幕府をも凌ぐ力を有する何者かが首謀者である可能性ならばどうか。 力づくで尾張幕府が保有する完成形変体刀を奪えるような存在が、この殺し合いを催したのではないか。 「いや……たしかに全盛期と比べれば幕府の力は弱まってはいるが、だとしても未だ絶対的な力を保有しているはずだ。 幕府以上の力となれば、国内にはまずありえぬ。……それこそ、諸外国に目を向けるしかあるまい。 しかし、そのような動きがあれば軍所総監督の私の耳に入らぬはずが――」 と、まあしばらくの間そんな風に悩んでいたとがめだったが。 現状、これ以上悩んでみたところで答えは出ないだろうとしめくくり、地面の千刀を拾う。 二本は背負い袋に入れ、残った一本を左腰に帯びる。 実際にこの刀を振るうつもりはない――とがめは剣士ではないし、刀を使った戦闘の経験もない。 だから、この刀はあくまで今後の他の人間との交渉を優位に進めるための飾りでしかない。 刀を帯びていれば、相手も考えなしにとがめを襲うということはしないだろうし、ならばそこに交渉の余地が生まれるだろう。 それに、下手に扱って千刀を失いでもしたらことだ。 千刀は千本で一本の刀、それゆえに一本でも欠けてしまえば千刀はその価値を失う。 そして、それはすなわち、とがめたちの刀集めの旅の失敗を意味する。 こんなわけのわからない殺し合いで、刀集めを終わらせてなるもるわけにはいかない。 「おそらく残りの九百九十七本はあの男、宗像形が所有しているはず……いずれ回収する必要があるか。 わたしを刺したように、あちこちに千刀を撒き散らされると厄介だが……いや、撒き散らされる程度ならまだいい。 宗像形よ……頼むから、頼むから一本たりとも折ってくれるなよ……。 たしかに使い物にならなくなったら代用できるのが千刀の利点てはあるが、それをされてはわたしが困る」 新たに生まれた心配事に頭を抱えつつ、とがめは再び歩き始めた。 何処へ向かうというわけでもないが、ひとまず山を下りたい。山道は、どうにも苦手だ。 とにかくあちらこちらがでこぼこしていて、よく見て歩かなければ転びそうになる。 宗像の見よう見まねではあるが、支給品の懐中電灯の使い方を理解できたのは幸運だった。 これがなければ、月明かりすらろくに届かない鬱蒼とした森の中だ。何度無様にすっ転ぶはめになっていたかわからない。 文明の利器を片手に、とがめは慎重に山道を進んでいく。 「……む?」 視界に突如出現した、鮮やかなオレンジ。 奇策士が橙なる種と出会ったのは、それから間もなくのことだった。 ■ ■ 「俺様は、想影真心だ」 無防備にも、大木に背を預けて眠っていたその少女は――寝惚け眼を擦りながら、想影真心と名乗った。 話を聞けば、最初の場所で強制的に眠らせられてから、一度はここで目を覚ましたものの、その直後に二度寝を始めたらしい。 悪びれもせず「だって俺様、眠かったし」と、しれっと言い放つ真心に、とがめは心の中で呆れる。 言うまでもなく、今は殺し合いの真っ最中である。斯く言うとがめも、つい先ほど宗像に危うく殺されかけたところだ。 だと言うのに、目の前の少女は寝入っていた。とがめが起こさなければ、そのまま寝続けていただろうことは想像に難くない。 この状況下で、あまりにも危機感が欠如している。 とがめが呆れ返るのも、無理なきことだった。 「まったく……見つけたのが、わたしのような善良かつ清廉潔白な人間でなければ、どうなっていたことか」 「うーん。多分、どうにでもなったと思うけどな。俺様、人よりちょっと強いから」 「たわけ。このわたしよりも、さらにさらに細身なその体で、なにができると言うのだ」 真心の小柄な体躯を指差して、とがめは言う。 とがめも決して背が高い方ではないが、真心はそれに輪をかけて小さい。童女と言っても何ら差し支えないほどだ。 童女でありながら、人並み外れた怪力を有する凍空こなゆきを、そして凍空一族を知っていたものの―― なまじ彼女の力を知っていたがゆえに、あのような規格外な存在がそうそういるはずがないと、とがめは考えてしまう。 目の前の少女が“こなゆき以上に規格外な存在である”という可能性には――至らない。 「まあいいや。えーと……とがめ、だっけ?」 「うむ。尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所――軍所総監督、奇策士とがめだ」 「んー。じゃあ、とがめ。あんた、これからどうするんだ?」 「これから、か。とにかく、なんとしてでもこの忌々しい首輪を外して、ここから脱出したいところだ。 わたしにはやり残したことがある――こんな殺し合いで死ぬわけにはいかないのだ。……それに、待たせている者もいるのでな」 嘘ではない。 最初に“今の段階では”を付けていない以外は、概ねとがめの本心そのままだ。 少なくとも現時点では、それが最も生き残れる可能性が高いと、とがめは踏んでいる。 その答えに、そっか、と真心は呟く。 「俺様もとがめと同じだ。殺し合いとか、実験とか……そんなのはどうでもいいし、面倒臭い。 できるなら、とっととここから抜け出して――いーちゃんに会いたい」 「……それが、おぬしの理由か」 「ああ。俺様は、いーちゃんが好きだ。好きだから、いーちゃんの、いーちゃんたちのいる場所に早く帰りたい」 「では、真心――わたしに協力してはくれぬか」 真っ直ぐに、真心の橙色の瞳を見つめ。 とがめは、少なからず緊張を含んだ表情で、そう言う。 力のない者が、この場で生き延びるには徒党を組むしかない。 身の安全を確保するにしても、脱出のための情報を集めるにしても、協力者は必要不可欠だ。 「別にいいぞ」 とがめの申し出に、真心は二つ返事で応える。 そして続けて、 「どうせ一人でいても、何をすればいいか俺様には判断つかないしな。 それなら、とがめを手伝ってた方が、時間の使い方としては有意義だろうし」 と、屈託のない笑顔を浮かべながら言った。 「これからよろしくな」と、真心が微笑み。 「こちらこそよろしく頼む」と、とがめが頷いた。 こうして―― はからずも、奇策士は最強の手駒を手に入れた。 けれど、奇策士は気付かない。 橙なる種自身も――気付いていない。 橙なる種に仕掛けられた罠――時宮時刻によって施されていた“操想術による解放”、その瞬間が刻一刻と迫っていることに―― 彼女たちはまだ――気付いてはいなかった。 【1日目 深夜 E-8】 【とがめ@刀語】 [状態] 腹部に負傷(止血済み) [装備] 千刀・ツルギ [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) 千刀・ツルギ×2 [思考] 基本:どんな手段を使っても生き残る 1:想影真心と行動しつつ、利用できそうな人間と合流。身を守ってもらう。 2:ひとまずは脱出優先。殺し合いに乗るのは分が悪い [備考] ※千刀・?(ツルギ)についての情報を持つ以降から 【想影真心@戯言シリーズ】 [状態]軽い眠気 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:いーちゃんのところに帰りたい。 1:とがめと協力して、脱出の術を探す [備考] ※ネコソギラジカル(中)、十月三十一日から 全てが0になる 時系列順 出陣だ 全てが0になる 投下順 出陣だ 「正義は必ず勝つんだぜ」 とがめ 混沌は始まり、困頓はお終い START 想影真心 混沌は始まり、困頓はお終い
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憂「えっ…?」 突然だった。 誰かがお姉ちゃんに告げたの?いや、そんなことするような人はいない。 でも、なんで…。 憂「ど、どうしたの?お姉ちゃん」 唯「昨日ね、たまたまお医者さんたちが話しているところ聞いちゃったんだ」 唯「私、もってあと10日の命なんだって」 …最悪だ。 どうして、どうしてこのタイミングでお姉ちゃんが知ってしまったんだろう。 お姉ちゃんに元気がなかったのも頷けた。 目が腫れぼったく見えたのは、泣いていたからなのだろう。 しかも、あと10日って…。2週間もない。 お姉ちゃんは、あと1回しか日曜日を迎えることが出来ないの? 唯「ねぇ、うい。私―――」 憂「聞き間違いだよ、お姉ちゃん」 唯「えっ?」 しばらく黙っていた憂は、口を開いた。 憂「お医者さんは、いい薬があるって言ってたもん」 憂「絶対に治るよ。お薬が出来るまで、あと10日ってことなんだよきっと」 唯「うい…」 うい。私、お姉ちゃんなんだよ? 私には何でもわかるんだから。 だから…。 そんな悲しい顔で、ウソをつかないで。 唯「うい。私、わかってるから」 憂「早く元気になって、また一緒に学校に行こう?」 憂は頑なに受け入れようといなかった。 唯「うい。私は―――」 憂「…やめてよっ!!!」 唯「……!!」びくっ 大きな声が耳をつく。 憂に怒られたのなんて、初めてかも知れない。 すると憂は私に抱きついた。 顔も見せず、ただただ震えていた。 憂「…そんなこと、言わないでよ」 憂「お姉ちゃんは死んだりなんかしないもん…」 憂「ずっとずっと、私のお姉ちゃんでいるんだもん…」 私は、ダメなお姉ちゃんだね。 妹を泣かせることしか出来ないんだから。 唯「…ごめんね」 食べたリンゴはしょっぱかった。涙の味がした。 私も、泣いていたのかな? 憂「ふぅ…」 昨日はみっともない姿を見せてしまった。 泣かないって決めてたのに、お姉ちゃんに抱きついて泣いてしまった。 私は、ダメな妹だね。お姉ちゃん。 でも、もう泣かないよ。残りの日々を笑って過ごすんだから。 私は今日もまたいつものように病室に向かっていた。 背中にお姉ちゃんのギターを背負って。 お姉ちゃんから夜中にメールがあった。 次来るときに、ギー太を持ってきて欲しいと。 学校から帰り、お姉ちゃんの部屋に入る。 少し散らかった部屋の隅にギターが置いてあった。 憂「よい…しょっと」 ギターを背負う。 憂「…んっ」 たくさんの思い出が詰まったギター。 ずっとずっとお姉ちゃんの傍にあったギター。 それを私が背負うには、ほんの少し荷が重いような気がした。 ガラッ 憂「お姉ちゃん。ギター持ってきたよ」 唯「あっ、ギー太ぁ!」 ギターを渡すとお姉ちゃんはうれしそうにそれを抱いていた。 ほんのちょっぴり、妬けたりもした。 けど、こんなに幸せそうなお姉ちゃんを見たのは久しぶりだった。 思わず私もうれしくなってしまった。 そのあとお姉ちゃんは、私のためにギターを弾いてくれた。 しばらく弾いてなかったせいかどこかぎこちなかったりしたけど、 その時のお姉ちゃんの顔はとても輝いていた。 唯「ここはね、こう押さえて…」 憂「えっと…こう?」 唯「そう!さすがうい。優秀だねぇ~」 憂「えへへ、ありがとう」 その後、私にギターを教えてくれた。 去年の文化祭の時にお姉ちゃんになりすまして弾いたことがあったから弾けないことはないんだけど、 お姉ちゃんに教えてもらって弾くということが私には特別で新鮮だった。 ジャカジャカ 唯「ふわっふわった~いむっ」 憂が帰ったあとも、私は一人でギー太を弾いていた。 もうこうしてギー太を弾くことも出来なくなるのかな。 そう考えると怖かった。 久しぶりに触ったギー太はやっぱり楽しかった。 憂も、弾いてる私を見てすごくうれしそうだった。 初めて憂にギターを教えた。 まだまだ教えられるほど上手ではないけど、せめてこういう時ぐらいはお姉ちゃんっぽくね。 憂は私とちがって飲み込みも早いし、センスもある。 これなら私がいなくなった後でも、ギー太は寂しくないよね。 唯「ね、ギー太?」 夜はギー太を抱いて寝た。 ほんの少しだけ、寂しさが薄れた気がした。 めずらしく寝付きもよかった。 それからは、毎日誰かが必ずお見舞いに来てくれた。 澪ちゃんは、学校であったことをいっぱい話してくれた。 私が茶々を入れると、その度に顔を真っ赤にして恥ずかしがったり、怒ったりした。 その姿がかわいくて、さらに澪ちゃんのことを茶化してた。 りっちゃんとは、ゲームとかくだらない遊びをずっとしてた。 最初はりっちゃんの圧勝だったんだけど、回数を重ねるごとに私の勝ちが増えてりっちゃんの負けが増えてきた。 負けず嫌いなりっちゃんの相手をするのは、とっても楽しかった。 ムギちゃんとは、おいしいケーキとお茶を飲みながらたくさんお話しした。 私はムギちゃんにたくさん質問した。実はムギちゃんのことあんまり知らなかった気がしたし。 お茶の淹れ方とかも教わったりした。ムギちゃんはずっと笑っていてくれた。 あずにゃんとは、ギターで一緒に演奏したり教わったりした。 時々ぎゅって抱きつくと、しゅんとするあずにゃんがかわいくて、その姿をおちょくったりしてた。 私はいい後輩を持ったなぁ。つくづくそう思った。 和ちゃんは、私のくだらない話にずっと付き合ってくれた。 幼稚園の時からこういう関係だったから、何か特別なことをしていなくても楽しかった。 私のバカに和ちゃんが突っ込んでくれて、時々和ちゃんをからかって、そんな関係。 憂も毎日来てくれた。 日を追うごとに自分の体が重くなっていくのがわかったけど、 誰かが来たときはそんなの感じなかった。 それほどまでに、充実していたし、幸せな時間だったから。 ガラッ 憂「お姉ちゃん」 再び訪れた日曜日。 明日から隔離病棟に移動するようで、そこからは誰も面会出来ないらしい。 言ってしまえば今日でお姉ちゃんと病室で会えるのは最後。いや、最期だった。 お昼過ぎに軽音部のみなさんと和ちゃんで一緒にお姉ちゃんの病室に向かった。 唯「あ、みんな…」 かなり無理しているのが伝わった。 顔も痩せ細っているし、体もふらふらしている。 唯「ごめんね、寝起きで頭回らなくて…」 お姉ちゃんがウソをついてるのはみんなわかっていた。 それでも誰も弱音は吐かなかったし、泣きもしなかった。 最後まで、笑顔で。そう決めていたから。 紬さんのお茶をみんなで飲みながら、最後のティータイムを過ごす。 しばらくして、お姉ちゃんが口を開いた。 唯「一人ひとりとお話したいな」 そんな提案から、一旦病室を出て一人ずつお姉ちゃんとお話しすることになった。 唯「………」 私は、みんなを病室から出した。 もうこれで最後。 お医者さんにも、明日からもうみんなには会えないと知らされた。 時間がいくらあっても足りない。 もっともっとお話したいし、色んなことしたかった。 でも、それは出来ないから…。 せめて、みんなにお礼を言わなくちゃ。最後ぐらい、ね。 なんてことを考えていると、扉が開いた。 ガラッ 澪「ゆい」 唯「みおちゃん」 最初は、澪ちゃんか。 りっちゃんかなって思ったんだけど、ちがったみたい。 澪「なんだ?話って」 唯「えへへ、ありがとうを言いたくて」 唯「私にたくさん優しくしてくれて、ありがとう」 澪「……!」 澪ちゃんの顔が一瞬崩れたのがわかった。 泣くのを我慢しているのが伝わってくる。 私も、泣きたい。でも泣いちゃダメ。 最後まで笑っているって決めたんだから。 唯「私さ、ドジだし、頭もよくないからたくさん迷惑かけちゃったと思うんだ」 唯「でも澪ちゃんは、その度に色々と私のこと助けてくれて…」 唯「ライブでも、2人でボーカル出来てすごくよかった」 唯「だから、ありがとう」 澪ちゃんは黙って聞いてくれた。 顔は下を向いていた、泣き顔を見せたくないんだね。 そんな強がりの澪ちゃんのこと、私は好きだよ。 澪「…私こそ」 澪「私の方こそ、ありがとう」 澪「唯がいたから、毎日が楽しかった」 澪「唯といるとな、すごく心があったまるんだ」 澪「これからも何かあったら助けるよ。私がいないと、唯はダメダメだからな」 澪「だから…さ」 澪「また、学校でな」 唯「うんっ」 そう言って澪ちゃんは足早に病室を出て行った。 学校で、か…。また、部室に行きたいな。 叶わないことなんだろうけど、澪ちゃんはそう言ってくれた。うれしかった。 ガラッ 律「うーっす」 唯「あ、りっちゃん」 次に来たのはりっちゃん。 いつもの調子で病室に入ってきた。 律「んで、なんだよ話って」 唯「へへ…」 唯「りっちゃん。ありがとう」 律「な、なんだよ急にかしこまって」 唯「りっちゃんは、私の人生を変えてくれた」 唯「軽音部に誘ってくれて、ありがとう」 唯「私、危うくニートになっちゃうところだったよ!」 律「なんだよ、ニートって。私たちまだ学生だろ?」 唯「ふふ、それもそうだね」 律「………」 律「澪もムギも梓もどっちかって言うと真面目な方だろ?」 唯「?」 律「だからさ、平気でバカ出来る唯がいてくれてすごく楽しかったんだ」 唯「そうだね。いつも私たち澪ちゃんに怒られてたかも」 りっちゃんとはずっとバカやっていたかった。 本当にそう思うよ。 律「いいか。またあのゲームで勝負だかんな!」 律「勝ち逃げすんなよ、わかったな!」 唯「…ふふっ、わかってる。いつでも相手になってあげる」 律「待ってるからな、絶対…」 そう言うとりっちゃんは背を向け病室を飛び出して行った。 りっちゃん、背中震えてた。我慢してたんだね。 ちょっと泣いた顔も見てみたかったな、なんて。 ガラッ 紬「唯ちゃん、こんにちは」 唯「ムギちゃん!」 次はムギちゃんが入ってきた。 ムギちゃんはすでに目に涙を溜めながらも、必死に笑っていた。 唯「ムギちゃんには、特にありがとうを言わなきゃだ」 紬「?」 唯「ムギちゃんがいなかったら、ギー太なんて持ってなかっただろうし」 唯「合宿も、あんなに楽しいところなんて行けなかったかも知れない」 唯「私ね、ムギちゃんのお茶が楽しみで毎日音楽室に向かってたんだよ」 唯「それだけじゃない。いつも笑ってて、ほんわかしてて、私を癒してくれた」 だからね、ムギちゃん。 紬「………」 そんな泣きそうな顔を、しないで。 紬「唯ちゃんっ…」 ムギちゃんに、そんな顔は似合わないよ。 紬「…ぐすっ。私ね」 唯「?」 紬「唯ちゃんのおかげでたくさんの夢が叶ったの」 紬「楽しいことも、うれしいことも、たくさん経験出来た。本当に感謝してるわ」 紬「唯ちゃん。戻ってきたら、またお茶しましょうね」 紬「唯ちゃんの大好きなケーキたくさん用意してるから!」 唯「うん、楽しみにしてるよ♪」 紬「絶対よ?」 唯「うん」 そう言ったムギちゃんの顔は、笑っていた。 やっぱりその顔が一番素敵だよ、ムギちゃん。 唯「………」 ムギちゃんが出てからしばらく経った。 けど、一向に誰かが入ってくる気配がない。 次は順番的にあずにゃんかな? たぶんあずにゃんのことだから、部屋に入るのを渋ってるんだろうな。 ふふっ、わがままな子猫ちゃんだね。 ・・・・・・ 13
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320 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 30 23 ID A2MNZGBu その日の放課後の屋上───待っていたのは長い黒髪を後ろに縛った、俺と 同じくらいの身長の目付きの少しきつい隣のクラスの───男だった。あれ? 「こんにちは。青野虎之助君。」 奴は男にしては高い声で俺のほうを向いた。まてまてっ!なんで俺の名前をっ!! 俺は榛原さんに手紙を渡したはずじゃっ!!!下手すればこのままアッーーな関係に? 俺様一生の不覚。 「君のことはよく知ってるよ。昨日榛原さんに相談されたからね。」 彼の表情は読めない……。何考えてるんだ。てかなんで榛原さんと仲いいんだ? やつは、男の俺に呼ばれたことがわかっていてもそれほど不機嫌なふうもなく淡々としている。 確か剣とかいったか…。こいつの名前。美形で女に人気のあるやつだ。 馬鹿姉め。どうせなら今日乱入しろよっ!! 「まさか、話してもいないのに一目で僕のことを見抜くなんて…。」 はっ?何いってんだこいつ。 「僕が女だって……どうしてわかったんだ?」 えーっと。ちょっとまて。整理しよう。俺は朝、榛原さんに渡すつもりで下駄箱に 手紙を入れた。だけど、間違えた場所に入れてしまった。そいつは男のはずだったが 偶然にも男装した女だった………なってこった。何か言わないと!!! 「わかるに決まってるだろ。どこからどう見ても可愛い女の子にしかみえん。」 俺はニヒルに笑って……あれ、これまずくないか? なんか剣さん赤くなってますよ? 「嬉しいことを言ってくれるな。親の都合で男として暮らしていたから…そんなこと 言ってもらえる日が来るなんて思っても見なかった。」 嬉しそうに笑う剣さん。だけど…俺は…。 321 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 31 14 ID A2MNZGBu 「剣さん…ごめんな。その手紙、榛原さんに宛てたものなんだ。昨日、姉と一緒にいて 告白されたのに誤解されてしまって。君のことわかってたのは本当だけど、下駄箱を 間違えてしまったみたいだ。可愛いっていったのは嘘じゃない。ほら、俺、女見る目は 厳しいんだ。姉があんなのだから。」 大嘘をつく俺。完璧だまされてました。はい。だけど嘘ってときには必要だよね? 「気にするな。なんとなくそうだろうとは思っていた。だが、僕も君に惚れたようだ。 これからは榛原もライバルだな。彼女には悪いが…。手紙は僕から彼女に渡しておこう。」 ちょ、おまおま…何がどうなってんだっ! どうやら、俺の学園生活には暗雲が立ち込めているようだ。そして、いつの間にやら 姉が屋上に来ていた。俺と剣さんは突然現れた美女のほうを向いた。 「あれ…あのお手紙、男の子に渡したの~?」 なんでこんなとこに駄目姉が…手紙? 「おい、亜紀姉。ちょっとまて…なんで手紙のこと知ってるんだ。」 「それはね~。虎ちゃん寝てるときに読んじゃった。おねーちゃんにもあんな熱い 手紙書いて欲しいなあ。そしたらすぐにOKだしちゃうのに。」 こいつにはプライバシーという言葉が存在しないのかっ! 「だって、虎ちゃん心配だもん。あーんな、格好いいお手紙を男の子に渡すなんて… やっぱり、正しい道をお姉ちゃんが教えてあげないとね。そんな、男同士の禁断の 関係なんて………どっちが攻め?どっちが受け?きゃーきゃーきゃー♪」 「いや、亜紀姉…その道も絶対間違ってるから…。てか、俺はホモじゃねえ!」 完全放置状態の剣さんはそんな俺たちの様子を見ながらくすくすと笑っていた。 322 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 32 08 ID A2MNZGBu 「いや、失礼。私は剣薫です…青野亜紀さんですね。お噂どおり美しい。これから、 私は正式に虎之助君とお付き合いさせていただこうと思っています。よろしくお願いします。」 丁寧に姉に礼をする剣さん…って…俺の意思は!? 「あらあら、虎ちゃんの姉の亜紀です。だけど、だめよー?虎ちゃんは私のお婿さんの 道しか決まってないんだからねー。」 「んなわけあるかあぁぁぁぁ!」 こんな駄目姉の婿なんかになった日には二十代で禿げるわ。俺を放置して見詰め合う 姉と剣さん。おおバックにオーラが見える…。 剣さんの後ろには竜。亜紀姉の後ろには太ったぶち猫… 「あうぅぅぅぅ…」 「…………」 あ、喰われた。 「いやああああ~この人怖いよぉ………虎ちゃん~~~~!!!」 そして泣きながら正面から抱きつく姉。理性を溶かすフェロモンを全快にした女の感触と匂いが 俺を侵食する。全身全霊を使ってなんとか俺は引き離した。 「やりますね…。だけど僕は負けません。今日のところはさよならです。マイラバー虎之助君。」 男装少女、剣薫は大げさな身振りを入れて去っていった。どうして俺の周りには変な奴 ばっかり集まるんだろうか。春は遠い。 323 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 33 07 ID A2MNZGBu その夜、一日の疲れを癒すべく俺は風呂に入っていた。この時間は家事と勉強と姉の世話に 追われる俺にとって数少ない安らぎの時間だ。俺は湯船につかりながらささやかな幸せに 浸っていた。 「ふぃ~~~今日も大変だったなぁ。」 「だよね~~~びっくりだよね。」 「まさか、あんなことになるなんてなあ……っておい!」 風呂の入り口にはバスタオル一枚で身体を隠した駄目姉がいた。 「今は入浴中だっ!帰れ!!」 「だめよ~。ちゃんと虎ちゃんに正しい道に戻ってもらわないといけないんだから。」 「はあ?」 「いくら恋人が出来ないからって男の子に告白しなくてもいいじゃない。」 俺の制止も聞かず、狭い風呂に強引に入ってくる。柔らかいからだがいっぱいあたって …ちょ、まずいことに… 俺は大事な部分が過敏にならないうちに脱出しようとしたが姉に腕を掴まれた。 う、動けない…なんて強さだ。 「それでなんで亜紀姉は俺の風呂に乱入することになるんだ。」 「正しい道に戻すには弟とは一緒にお風呂はいるべきなんだよ?お姉ちゃん天才っ!?」 「わけわからん……。」 俺は何もかも諦めて脱力し、メリハリの利いた姉の肢体をみないようにしながら 身体を洗ってとっとと風呂を上がろうと心に決めた。が、 「あ、お姉ちゃんが虎ちゃんのお背中流してあげるね。嬉しいな~こんなの子供の頃以来だね。」 と、姉は追いかけてきた。もう抵抗しても無駄なのはいつものことなので悟りを 開こうとしていたのだが…背中に当たるむにゅんという犯罪的に柔らかい感触が 俺を悟りの極みから呼び戻した。 324 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 34 24 ID A2MNZGBu 「ちょ!亜紀姉!!なにしてだあああ!」 「えっとぉ。正しいお背中の流し方…………なんだって。えへへ。恥ずかしいね。」 鏡を見ると……バスタオルもつけていない裸の姉が身体に泡をぬりつけて、俺の 身体に擦り付けていた……思わず噛んじまった。姉は幸せな顔で俺に身体をすりすりしている。 「俺が恥ずかしいわっ!亜紀姉、やめろ~っこれはだめNG!」 「えええ。折角お姉ちゃん頑張ってるのに~~気持ちよくないの?」 ええ、そりゃスタイル抜群で絶世の美人な姉にこんなことされるのは気持ちいい…だが! 人の道は確実に踏み外しているはずだ。 「ほら、お、俺達は姉弟だろうが。こういうのはだめだ!」 「姉弟とか関係ないよ虎ちゃん。男の子好きの虎ちゃんを女の子好きに戻すほうが大事なんだから。 あれ………虎ちゃんのおちんちん………子供の頃と随分違うね。上向いてるよ?」 ま、まずい……駄目だ駄目だと思っていたが、意味不明なくらい駄目だ。逃げよう、 何が何でも逃げようっ。これ以上の羞恥プレイはたえられん。 「えいっ!うわ、硬い~~それに熱くてどくどくいってるよ~。」 逃げる前に、姉のしなやかで細い指先は、俺の息子を完全に拘束していた。背中から 両手を回しているために胸は完全に押し付けられ、逃れられない反則的な快感を俺に与える。 蒸気に曇った欲室内は徐々にピンク色に空気が篭っていっている錯覚に陥らせた。 「亜紀姉………俺、本当に怒るぞ?」 「うう、虎ちゃん怖い……ねー。酷いよねー。」 泣きそうな声で俺の息子に語りかける馬鹿姉…って!!上下に動かすなっ! 「あれ?なんか出てきた…。お湯じゃないよね。もっともっとしてみよ…」 「うわああぁ馬鹿姉!!亜紀姉っ!!やめやめっ!!!」 片手で俺を抱きしめ、あいた手で姉は俺のあそこを可愛がり始めた。柔らかい感触 だけでなく、姉の熱い吐息が無意識なのか俺の敏感な首元にかかった。 「うああぁぁ…やばい、やばいって亜紀姉…だめだ…くううう!!」 「うわあ、白いのがすっごいいっぱい……ああっこれがもしかして…。へえ~こんな風に なってるんだね。虎ちゃん…。気持ちよかった?ねえ気持ちよかった?」 「…………」 俺は遊び半分で強制的にいかされたショックと、それを姉にされたことの二重のショックで 打ちひしがれた。姉は…それを舐めたり匂いを嗅いだりして好奇心を満たしていた。 325 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10 35 33 ID A2MNZGBu 「うう~~ごめんなさいいい、ね、虎ちゃん、怒らないで~」 風呂から上がった俺は自分の部屋で駄目姉を正座させていた。見た目だけは美しい姉は 俺を涙目で上目遣いしている。 「あんなことはしちゃだめだ。第一男女七歳にしてといってだな。一緒に寝るのも駄目なのに 裸であんなことしたら駄目なんだ。」 「でもでも~男の子好きになるくらいならお姉ちゃんがって思ったんだもん。虎ちゃんの ためなんだよ~?」 この姉は本気だろう…だから、いつもあんまり強くはいえないのだが…。 「俺はちゃんと女の子が好きなの。それに剣は女らしいから大丈夫だ!」 「そうなんだ…ああ、でも愛する虎ちゃんが剣さんと仲良くなっちゃうのも困るなあ。」 「いい加減俺も彼女いない暦=年齢を卒業させてくれ。亜紀姉。」 俺はため息をついた。そんな俺に姉は名案とばかりに手を叩いた。 「じゃ、お姉ちゃんが恋人になってあげる!!そしたら、卒業だよ。ないすあいであー!!」 「アホか。」 あほなことをいう姉を一旦放置し、飲み物を用意するために部屋を出た。姉の宿題を 見てやんないとだめだしな。そして暫くして戻ると… 「虎ちゃん虎ちゃん虎ちゃん~~~~っ!」 姉が俺のベッドの上で虎のぬいぐるみを抱きかかえ、転げまわっていた。俺は問答無用で 布団から引き剥がしてベッドから亜紀姉を叩き落し、軽く蹴りを入れた。 「いやん、虎ちゃん大胆…ああああ、嘘嘘。将軍様助けてー暴力反対よ~」 そして、黙ってお茶菓子を出して自分の宿題を片付けさせた。 ちなみにこの日は……すっきりしたせいかよく眠れた。畜生。
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トレーナー情報 シジミ りっしゅう 使用ポケモン シジミ ラグラージ@リンドの実 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 100 110 90 85 90 60 技 地震 カウンター 冷凍パンチ 半角空けて選択理由など ラプラス@ソクノの実 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 130 85 80 85 95 60 技 ? ? ? ? 半角空けて選択理由など ヘラクロス@拘りスカーフ HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 80 125 75 40 95 85 技 インファイト ? ? ? 半角空けて選択理由など 使用ポケモン りっしゅう バシャーモ@拘りスカーフ HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 80 120 70 110 70 80 技 地震 ストーンエッジ スカイアッパー フレアドライブ サンダースに先手を取るのが目的だった。 また、地震読みギャラ無償光臨も恐れて、エッジも搭載!威嚇喰らいながらもそれなりのダメが期待できる。 状況に応じて読んでいくつもりだったけど… 失敗しちゃいましたw カビゴン@食べ残し HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 160 110 65 65 110 30 技 恩返し 雷 寝言 守る 完全に受け目的。ハピナスの歌うの保険として寝言。雷はギャラ対策専用。 オオスバメ@気合の襷 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 60 85 60 50 50 125 技 恩返し がむしゃら 電光石火 ツバメ返し わがパートナーの変態(?)型。最初のターンは守るor身代りだろうと油断させて、恩返しorツバメ返し。 わざと自分よりすばやい敵に出してがむしゃら→電光石火で落として、あとは適当暴れてもらう。 ゴーストはらめぇぇぇぇぇぇ。 シジミVSりっしゅう バトルスタート! ■ りっしゅうはバシャーモを繰りだした! □ シジミはラグラージを繰り出した! 第1ターン ラグラージ - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ りっしゅうはバシャーモを引っ込めカビゴンを繰り出した! □ラグラージの冷凍パンチ!カビゴンに少しのダメージ ★カビゴンは食べ残しでほぼ全回復 名前 コメント 第2ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ ラグラージ地震!急所でカビゴンHP4割まで減る □カビゴン恩返し!ラグラージHP残り7割 ★カビゴン残り物を食す。 名前 コメント 第3ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ カビゴンの守る! □ラグラージのカウンター!しかし失敗 ★カビゴン残飯を喰らう 名前 コメント 第4ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ ラグラージの地震!急所でカビゴン倒れる! ★りっしゅうはオオスバメを繰り出した! 名前 コメント 第5ターン ラグラージ - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ オオスバメの恩返し!急所に当たってラグラージ赤ゲージ! □ラグラージの冷凍パンチ!オオスバメも赤ゲージ!お互いボコボコ! 名前 コメント 第6ターン ラグラージ - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■オオスバメの恩返し!ラグラージは倒れた! ★シジミはラプラスを繰り出した! 名前 コメント 第7ターン ラプラス - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ りっしゅうはオオスバメを引っ込めてバシャーモ! □ラプラスの氷の礫!少しダメージ 名前 コメント 第8ターン ラプラス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ シジミはラプラスを引っ込めてヘラクロス! □バシャーモのスカイアッパー!ヘラクロス残りHP7割 名前 コメント 第⑨ターン ヘラクロス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角(ry ■ りっしゅうはバシャーモを引っ込めてオオスバメを繰り出した! □ ヘラクロスのインファイト!オオスバメは倒れた! ★りっしゅうはバシャーモを繰り出した! 名前 コメント 第10ターン ヘラクロス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ヘラクロスのインファイト!バシャーモは倒れた! 書写;シジーミ 感想など
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ふくももちゃん 携帯画像 都道府県 東京都 肩書き イオン銀行公式SNSキャラクター 公式サイト https //www.aeonbank.co.jp/other_service/20171114_fukumomo.html 解説 幸福を呼ぶシンボルであり、金運を上げる縁起物としても知られているふくろう。かわいいももいろのふくろうの女の子。小さいながらお金についてあれこれ勉強中。将来は森の仲間たちに頼られるファイナンシャルプランナーになるのが夢。 攻略難易度 ★★★中。イオン銀行のイベントにて。 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報
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復刻版信ちゃん 2011年(株)協和ロジテック製。「信ちゃん貯金箱」は全国信用金庫協会による共同調製が基本であったが、これは通常の粗品と同じく、個々の信用金庫が発注しているもの。 復刻版信ちゃん
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唯「すー、すー……」 お姉ちゃんは天使です。 いや人間なのはわかってますけど、天使のように美しいんです。 その顔を見るたびに、とても心が清らかになって、元気になる気がします。 起きている時のお姉ちゃんの顔は、そう思います。 だけど、毎朝起こしてあげる時。 お姉ちゃんの寝顔を見ている時は…… まるで悪魔にささやかれているような気持ちになるのです。 憂「……」 いま、私はお姉ちゃんの部屋にいます。 眠っているお姉ちゃんのそばに立って、じっとその寝顔を見おろしています。 すうすう穏やかな寝息を立てているお姉ちゃんは、きっといい夢を見ているのでしょう。 すこしだけ膨らんだ胸は、呼吸にあわせてゆっくりと上下しています。 毎朝見ている光景。 ふだんと違うのは、部屋にはほんの薄明かりしか射していないこと。 つまり、夜なのです。 お姉ちゃんに許しもうけていないのに、 こうして夜中に勝手に忍び込んで、お姉ちゃんの寝顔を見つめているということです。 唯「……ん」 お姉ちゃんがもぞっと動きます。 私は少しだけ気が引けましたが、そのまま動かずとどまります。 もっとお姉ちゃんの寝顔を見ていたかったから。 唯「あ……ふ」 お姉ちゃんの唇が、「あずにゃん」と動いた気がしました。 胸がぎゅうっとしめつけられます。 お姉ちゃんの寝顔はやはり悪魔だと思います。 わたしに悪いことばかりささやきかけてきます。 憂「……かわいいな」 静かに膝をつき、お姉ちゃんの顔にさらに近づきます。 お姉ちゃんの寝息が大きく聞こえます。 胸の高鳴りを抑えられません。 お姉ちゃんはお姉ちゃんだけど、姉妹だっていうのはわかってるけど、 それでも、もう引き返すことはできないように思います。 せめて今、お姉ちゃんが目を覚ましてくれれば…… そんな思いでお姉ちゃんの頬を撫でてみます。 唯「……♪」 憂「っ」 お姉ちゃんは、かわいい寝顔をさらに気持ちよさそうにゆるませただけでした。 憂「……ごめんね、お姉ちゃん」 呟いた唇が、お姉ちゃんのそれに向かっていきます。 憂「んむ……」 薄く開いた唇から漏れ出るような吐息を、私のくちびるで閉じ込めます。 ふわっとしたようなやわらかい感触。 お姉ちゃんはすこし唇をもごつかせた後、 むりやり私たちの唇同士の隙間から呼吸を続けます。 唯「んん、うぅ……」 お姉ちゃんが苦しげな声を上げているように思います。 ですが、お姉ちゃんとのキスが、 お姉ちゃんとキスしているという思いが、 その他一切の考えを遠くへ追いやってしまいます。 唯「ふぅ、ぶ……うぅーっ」 お姉ちゃんが、いちだんと大きく呻いたかと思うと、 ぐいっと右腕で私の顔を押しのけました。 憂「……」 唯「はーっ、はぁー……かはっ」 お姉ちゃんが咳き込みます。 あぁ、起きたろうなあ。 私はまだキスの感覚からぬけきれず、ぼんやりと座りこんだままです。 唯「……うい?」 お姉ちゃんがうっすら目を開けて、私を見ています。 憂「お姉ちゃん、起こしてごめんね」 唯「どうしたの……? なにかあったの?」 ねぼけた声で、お姉ちゃんが見当違いのことを聞いてきます。 お姉ちゃんが何よりの当事者だというのに。 唯「うい……何か言ってよ、ねぇ」 お姉ちゃんの表情が不安そうに歪んできます。 わたしは、できればその不安を払拭してあげたかったけれど、 どうにもうまく説明できそうにありません。 私は悪魔にささやかれた、それだけなのですから。 唯「うい……?」 お姉ちゃんの右腕を、シーツの上にぎゅっと押しつけました。 ふたたび、お姉ちゃんの唇に近づいていきます。 唯「へ? ……ん」 またキスをします。 お姉ちゃんの半分開いた唇が、むにりと私の唇を包みました。 唯「ん、うっ……」 お姉ちゃんは寝ぼけているのか、 私のキスに対して軽く唇を吸って、普通に受け入れてきています。 頭の奥がじいんと痺れてきます。 これが、悪魔の言っていた「幸せ」でしょうか。 唯「んんっ……ういぃ」 憂「はう……」 お姉ちゃんはちゅっちゅっとキスを繰り返します。 私もそれに応じるように、唇を突き出します。 ぶつけあうような、下手っぴのキス。 でもお姉ちゃんにキスされているという感じだけで、 幸福の絶頂に浸れるような気がします。 唯「はっ……うい、ういぃ」 お姉ちゃんは私の名前を呼びながら、両目から涙をぼろぼろ流しています。 どうして泣いているのかわかりませんが、 なぜかお姉ちゃんが悲しんでいるとは思いませんでした。 唯「すきだったよ。んっ、ずっと……」 憂「……ふぁ」 私の耳には、唇をむさぼられる音が響いています。 とぎれとぎれにお姉ちゃんの声が聞こえましたが、何を言っているのかはわかりません。 憂「おねえちゃん、んぅ……」 好きだと伝えたいのに、お姉ちゃんが間髪入れず唇を押しつけてくるので、 私はうまく言葉を紡げません。 むりやりキスをした時点で、お姉ちゃんにもそれはわかっていると思います。 あれ? でも、ということはお姉ちゃんも 私の気持ちが分かっていてキスしてくれているのでしょうか。 キスをしてくれるのは、お姉ちゃんも私のことが好きだから? 憂「……」 そのことに気付いた瞬間、ふと心にあたたかいものがあふれるように流れ込んできました。 憂「おねえちゃんっ」 お姉ちゃんの上に馬乗りになります。 顔を両手でがしっと固定して、ふかく口付けをします。 唯「はぁん……っ、ういっ」 にゅるりと、口の中に何かが押しこまれました。 それがお姉ちゃんの舌だと気付くのに、すこし時間がかかります。 そして、気付いてしまったとたん、私はおかしくなりました。 ほんとうはいつまでも楽しみたいこの感覚を記憶にとどめておく作業すらせず、 ただ触覚を鋭敏にして、舌の触れ合う感触に胸を踊らします。 唯「ん、ちゅ……ぷはぁ……んむ、ふちゅ」 お姉ちゃんの伸ばした舌を吸います。 憂「はっ、おねぇ……んふぃい」 伸ばした舌が、お姉ちゃんに吸われます。 わたしの口か、お姉ちゃんの口か分からない温かみの中で、 私たちの舌がぴちゃぴちゃ唾液をはじけさせながら絡み合います。 ――きもちいい。 唯「んあっ、もぐっ……じゅじゅずう……ん」 憂「ふうぅ……ふぶうぅ、ふぁああ!!」 ――きもちいいっ 手を置いたお姉ちゃんの頬から首筋が、 重ねたお姉ちゃんのくちびるが、 絡めるお姉ちゃんの舌が、熱い。 きっと私も、それ以上に熱くなっていると思います。 溢れ出る性欲は自覚していましたが、 とくべつ自分やお姉ちゃんの秘所に触れたいという気持ちはしませんでした。 憂「ふっ、う、うぅ……」 お姉ちゃんとキスしているだけで、それが満たされている気がします。 だんだん、体がぴくぴく奇妙な反応をかえしているのを感じます。 組み伏せたお姉ちゃんの身体も、軽く痙攣しているような感じです。 唯「はあぁ……あっ、うふぁあぁ……」 喉まで舌で舐め合うような、淫蕩的なキスに酔いしれます。 溶けあって、私たちはひとつになっているような感覚がしてきます。 唯「んんっ……むううぅぅ!!」 お姉ちゃんが大きな声を上げて、体をびくびく震わせます。 舌をちゅううっと強く吸ってあげます。 お姉ちゃんの舌にからみついた私たちの唾液が、口の中に流れ込んできます。 憂「はあ、お姉ちゃん……んむうぅ」 唯「んっ、ふく……ううー!」 ぐいぐい身をよじって、お姉ちゃんはなにかをこらえているみたいでした。 さらに強く舌を吸ってあげます。 お姉ちゃんはこれがけっこう好きみたいで、今度は小刻みに震えはじめます。 吸い上げた舌をくちびるで挟んで、 ふわりとやわらかい舌裏をぺろぺろと舐めてみます。 唯「っ、うぶっ、……きひゅうっっ!!」 びくんっ、とお姉ちゃんが私の下で大きく跳ねました。 唯「ふううぅー、くんんうぅー!!」 暴れるお姉ちゃんの身体をおさえつけて、舌裏を舐め続けます。 お姉ちゃんが感じているのが、上にいる私にダイレクトに伝わってきて、 頭の中がすさまじい充足に包まれていくのを感じます。 お姉ちゃんの痙攣がひとまずおさまっても、ずっとお姉ちゃんの舌を舐め続けます。 それだけでお姉ちゃんは、またびくびく体をふるわせます。唇の間からかわいい声をもらします。 鼻に激しい呼吸をゆだねて、お姉ちゃんの舌を口の中で舐め上げ続けました。 お姉ちゃんが反応するのが、楽しくてうれしくて、 もしかしたらお姉ちゃんよりもきもちよくなっていたかもしれません。 ―――― 永遠のようにも思われた夜は、いつの間にか明けていました。 私はお姉ちゃんの隣で眠っていたみたいです。 憂「……?」 どうしてお姉ちゃんの部屋にいるのでしょうか。 昨日は確か―― 憂「あれ? えっと……」 記憶が飛んでいるかのように、昨晩のことが思い出せません。 経験はありませんが、お酒に酔ってそのまま寝てしまったような感じでしょうか。 私は、となりのお姉ちゃんに目をやります。 お姉ちゃんならなにか知っているかも、とそんな気持ちでした。 そして私は、悪魔の寝顔を目にしてしまいました。 唯「うーい……すや」 なんでしょう。 なにか奇妙に、口寂しい感じです。 憂「……」 やさしい寝息をたてているお姉ちゃんの口元に目がいきます。 私はお姉ちゃんの頬に手を置いて、私のほうに顔を向けさせると、 体をずりっと動かして、お姉ちゃんに近づきました。 憂「……ごめんね、お姉ちゃん」 その口の動き方に、デジャビュを感じます。 ……いまは、そんなことはどうでもよかった。 私は、眠っているお姉ちゃんの乾いた唇に、またそっと口づけるのでした。 おしまい 戻る
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にっきちょう 2年1組 ひらさわゆい 8月2日 はれ 今日はのどかちゃんと のどかちゃんのお母さんといっしょに プールに行きました。 のどかちゃんは およぐのがとってもじょうずで すごかったです。 8月4日 くもり おにわの朝がおの花がさきました。 こんなにきれいなのに、朝しかさかないのはもったいないと思いました。 8月7日 雨 公園でのどかちゃんとあそんでいたら、ねこさんがいました。 ねこさんにさわろうとしたら、ねこさんは「シャー!」と言ってにげてしました。 やなかんじです。 8月10日 くもり 今日からお母さんが、おしごとで1しゅうかんかえってきません。 お父さんも外国でおしごとなので、かせいふさんが来てくれます。 お母さんに会えないのはさびしいです。 8月14日 はれ ういが「お母さんに会いたい」と言ってずっとないています。 ういはあまえんぼさんなので かわいそうです。 唯「かわいそうです、と…」カキカキ 憂「うぅ…お母さん…ぐすっ」 唯「ねえ、ういー」 憂「ぐすっ、なあに、お姉ちゃん?」 唯「明日、お母さんに会いに行こうよ!」 憂「へ?」 唯「ねっ!」 憂「…うん!」 憂「でもお姉ちゃん、お母さんがどこにいるかわかるの?」 唯「えへへー、前にね、お父さんと一緒に行ったことあるからわかるんだー」 唯「お小遣いがあるから、バスに乗っていけるよ!」 憂「わあ…!」 唯「だからね、大丈夫だよ憂!お姉ちゃんにまかせて!」 憂「うん!」 唯「えへへ、明日が楽しみだね!」 憂「そうだね、お姉ちゃん!」 翌日、昼過ぎ 家政婦「それじゃあ夕飯のお買い物に行ってくるから、良い子でお留守番しててね」 唯「は、はーい!」 唯「…」 唯「よし、今がチャンスだよ、憂!」 憂「う、うん!」 ぶろろろろろ 唯「あ、きたきた!あのバスに乗るんだよ!」 ぷしゅー ちゃりんちゃりん びー 出発します ぶろろろろろ 唯「このバスのね、○○前っていうところで降りるんだよ」 ― ―― ――― 唯「すぅ…すぅ…」Zzz 次はー、○○前、○○前― 憂「くぅくぅ…」Zzz ○○前、通過しまーす ぶろろろろろ ― ―― ――― 終点、××岬ー これより当バスは回送となります、ご乗車ありがとうございましたー ぷしゅー ばたん ぶろろろろろ 憂「お姉ちゃん…」 憂「ここ…どこ?」 唯「…」 唯「もうすっかり夕方だね…」 憂「うん…」 唯「ずいぶん遠くまで来ちゃったみたいだね…」 憂「うん…」 唯「あ、どうしよう!」 唯「もうお小遣い無いからバス乗れないよ!」 憂「ええっ」 憂「そんな、どうするの?」 唯「どうしよう…」 憂「う…ぐすっ」 唯「あ、憂泣かないで…」 唯「うーんと…そうだ!」 唯「ここを通るバスを追いかけながら、歩いていこうよ!」 唯「どれくらい遠いかわからないけど、きっといけるよ!」 憂「ぐす…」 憂「…うん、そうだねお姉ちゃん!」 唯「うん!じゃあ、しゅっぱーつ!」 唯 テクテク 憂 テクテク 唯「あ、見て見て憂!夕日がきれいだよっ」 憂「わあ、ほんとだぁ」 唯「ゆうやーけこやけーの あかとーんーぼー♪」 唯「おわれーてみたのーはー♪」 唯憂「いつのーひーかー♪」 唯「えへへ」 唯憂「ゆうやーけこやけーのー♪」 ― ―― ――― 唯「バス、来なくなっちゃったね…」 憂「うん…」 唯「これじゃあ道わからないね…」 憂「うん…」 唯「すっかり夜になっちゃった…」 憂「う…ぐすっ」 憂「おなかすいた…」 唯「憂…」 ぽつ ぽつ ぽつ ざあ ざあ ざあ ざあ 唯「わ、わ、すごい雨降ってきたよ!」 憂「ど、どうしようお姉ちゃん!」 唯「えっと、えっと…」 唯「あ、あそこの公園!あの大きいゾウさんの下がトンネルになってるよ!」 唯「あそこで雨宿りしよう!」 憂「う、うん!」 唯「はあ、はあ…」 唯「ちょっと濡れちゃったねー」 唯「憂?」 憂「う…ぐすっ、もうやだよう…」 憂「おなかすいた…おうち帰りたいよう…」 唯「ういー…」 ぎゅっ 唯「ごめんね、憂…私がお母さんに会えるって言ったのにね…」 唯「ダメなお姉ちゃんだよね…ぐすっ」 唯「本当にごめんね…ぐす、ひっく…」 憂「お姉ちゃん…」 憂「ううん、お姉ちゃんは悪くないよ」 憂「私こそごめんね。お母さんに会いたいって言ったのは私なのにね…」 憂「だから、泣かないで?お姉ちゃん」 唯「ぐすっ…」 唯「ありがとう、ういー」 憂「えへへ、お姉ちゃんあったかーい」 唯「えへへ」 唯「すぅすぅ…」 唯「…はれ?寝ちゃったぁ…」 唯「あ…」 唯「憂、憂」ゆっさゆっさ 憂「うん…なあにお姉ちゃん?」 唯「すっごく星がキレイだよ!」 憂「わぁ…ほんとだぁ。雨やんだんだね」 憂「…?」 憂「あれ?お姉ちゃん、誰か来るよ?」 酔っ払い男「ウィー、ヒック…」フラフラ 酔男「うぅー、飲みすぎた…うっぷ」 酔男「あ、やべ…うっ」 げろげろげろ 唯「お、おじちゃん大丈夫?病気?」 酔男「ああん?なんだぁ、おじょうちゃんたち」 酔男「こんな時間にこんなところでこんな小さな女の子がふたりで…」 酔男「まだ酔ってるのか?おらぁ」 酔男「うっぷ」 げろげろげろげろ 唯「ほんとに大丈夫?おじちゃん」背中さすさす 酔男「うう、すまねえな、おじょうちゃん。だいぶ楽になったぜ」 酔男「ふーむ、それにしても…」 酔男「姉妹そろってなかなかかわいい顔立ちしてるじゃねえか」 酔男「へへへ…」 酔男「おじょうちゃん達、ちょっといいかい…?」カチャカチャ 唯「へ?」 ― ―― ――― 憂「やめて!お姉ちゃんにひどいことしないで!」 唯「憂…逃げて…」ポロポロ 憂「あ、あ、お姉ちゃん…!」 唯「ういー…」 2